碧のサカナ

V6.嵐.ジャニーズWEST.ハロプロについてお話しします。

大洪水を作った「silent」第10話

 

紬の家にCDを借りに来た想。

いつかの、1話の、湊斗と寝ていた明け方と同じ雨。

 

「好きなの、借りていいよ」

「ケースと中身が違う」

 

「高校生の時も何枚か貸すと中身入れ替わって戻って来た」

「青羽、変わんないよね」

 

 

 

高校生の頃から変わらない紬の性格。

「中身とケースをよく考えずに閉まっちゃう」

「お腹が空くと機嫌が悪くなる」

「まっすぐ」

 

どれもこれも「変わらない」ことを嬉しそうに話す想。10話を最後まで見てしまった私は、もうこの部分を涙なしには見られないんだけど、この時の嬉しそうな顔はきっと想の本心。「変わらない紬」のことがあの頃から大好きな想。

 

洗い物をするためにポニーテールに結んだ紬。

紬はきっと全然狙ってなくて、「想がポニーテールが好きなこと」もきっとこの時は忘れてる。ナチュラルに出来ちゃう子なのよ。紬は。

 

それを嬉しそうに見つけてちょっかいかけにいく想。

ここね、すごい好きだなあと思ったのが、ポニーテールが好きとか言ってるくせに、髪じゃなくて紬の表情を見てるんだよね。髪の毛触って遊んで、すぐに視線を紬に向けてる。ああ、想が好きなのはポニーテールじゃなくて、紬なんだなあって。「紬がしてるポニーテール」が好きなんだなあって思った。

 

スローになって、音がなくなる。

こんなに大好きな人の笑顔が近くにあるのに、声が聞こえない。何を言っているのか正確にはわからない。「耳が聞こえない」ということって、こういうことなんだって思い知らされた気がした。

 

きっと高校生の頃にもこのじゃれあいをしたであろう二人。

あの頃と同じ髪型で、同じことをしてじゃれあってるのに、あの頃と違う大きいこと。それが同じことをすればするほど、変わらないと実感するほど、浮き彫りになって、想を苦しめる。

 

こんなに微笑ましいやりとりなのに、なのに見れば見るほど涙が止まらなかった。

 

 

 

 

光の大学にレポートを届けに行く想。

雨に濡れないように服の中に隠してるのかわいい。

光が想と話そうとしてスマホを取り出す。咄嗟に光の落ちそうになった傘をすくい上げる想。

こういう細かい描写が本当うまいよね。

 

「この後、暇?」

「(頷く)」

「牛乳、買って帰らないといけない」

「俺、スマホより重いもの持てないから。一人で牛乳買いに行けない」

 

 

すぐに音声変換アプリを起動できるくらいには、いつでも想と話せる準備が出来ていた光。

 

まだレポート届けてくれたお礼も言ってないし。

もうちょっとくらい一緒にいてもいいけど。

って声が聞こえて来そうな表情で、不器用に想を誘う。想も全部全部わかっていて、思わず笑いながらコクっと頷く。たまらんかわいい。

 

 

 

「レポート間に合った?なんか…大丈夫だった?意思疎通っていうか…」

「うん」

「あれ、牛乳買ってくれたの?姉ちゃんも買って来ちゃった」

「どうしてもスーパー行きたいって。佐倉くんが、どうしても俺と一緒にスーパー行きたいっていうから」

「買い物付き合ってあげたの?」

「うん」

「牛乳、ついでに買ってくれたの?」

「うん」

「ありがとう」

「佐倉くんがお金出してくれた。どうしても出したいっていうから。ちゃんとありがとう言ったから」

「うん」

「文字で、だけど」

「うん」

 

 

紬も全部全部わかってる。

少しずつ、少しずつ想に歩み寄ろうとしてる光のことも、それをちょっと照れ臭くて恥ずかしくて素直に言えないことも、全部わかってる。光が「ありがとう」って伝えたかったけど、何かを理由にしないと言えないから、牛乳を買ってきたのもわかってる。

 

 

 

紬のバイト先に来た萌ちゃん。

紬を見つけて、洋服をサッと着崩れてないか直す萌ちゃん。緊張しているのが伝わる。こういう細かい描写がね、すごいよね。

 

「別に会いに来たわけじゃなくて。渋谷来て、タワレコ寄ろうかなって、で、見たことある人いるなって。こないだ、お兄ちゃん久しぶりに帰って来て…ありがとうございました」

「いや、私が帰れって言ったわけじゃなくて…」

「ありがとうございますってお母さんも言ってて…」

「はい…」

「KPOPどこですか?」

「ああ、5階です…」

 

 

お兄ちゃんと話すときとは違うちょっとよそ行きの声でぎこちない表情で話す萌ちゃん。

 

違う形で、お互いの兄姉に「ありがとう」を伝えた光と萌。

わざわざそれを言いに東京まで、渋谷まで、来た萌ちゃん。紬には多分、そこまで伝わってないけど、でもちゃんと私たちには届いてるよ。いつだって、兄姉想いな二人。ちゃんとわかってる。

 

 

 

 

自分の病気の遺伝について調べる想。

ここで「silent」ってタイトル出してくるのしんどい。

 

大好きなスピッツのCD。唯一、今の想の家にある紬のバイト先で買ったCD。聞こえない想が「CDを買った」それはすごく大きく進んだ一歩のような気がしたのに、また光のない目で画面を見つめる想。

 

紬といるとどうしてもこれからの未来のことを考える。

それはもちろん希望でもあるけど、でも今の想にとっては不安が大きい。

「結婚」「出産」そんなことを考えるとどうしても自分の病気が遺伝してしまうのではないかと、紬との未来を考えれば考えるほど、とてつもなく辛い思いを抱えてしまう。きっと、紬と再会する前には考えなかったこと。また新たな壁に想はぶち当たっている。

 

 

 

 

 

 

 

春尾先生と奈々。

そう言えば、私いつから「風間ぽん」って言わなくなったんだろう。気づけば春尾先生って書いている気がする。それくらい、みんなの名前、もうスラスラ覚えちゃったね。

 

 

あの頃と同じ。「ノート」に手紙を書く奈々。

 

「あの頃のこと、謝ろうって思って会いに行ったのに、話せなかったから手紙にします。顔を見ないで話せたらよかったんだけど、手話って、こういう時、不便なんだね。聞こえる人に囲まれて、必死に目で文字を追いかける毎日で、春尾くんが私の顔を見て必死に手を動かしてくれることがすごく嬉しかった。早く手話だけで話せるようになりたかった。でも、間違えてるよって教えたいからちょっとだけ間違えてて欲しかった。春尾くんが手話を仕事にするのが嫌だったわけじゃない。自分とは違うとは思い知って、辛くなってしまっただけ。私は手話ができるけど、聞こえる人の通訳はできない。春尾くんは、手話ができて、聞こえない人の通訳ができる。優しくしてくれたのに、受け入れられなくて、ごめんね。」

 

 

最初、あんなにあざといって思ってた奈々のこと、私たちはもう「かわいい」って思える。そして「優しくしてくれたのに受け入れられなかった」のは、いつかの想くんも同じ。奈々が友達ができるようにって紹介してくれたろう者の友達を、奈々の優しさを、どうしても受け入れることができなかった。奈々も同じような経験をしてたから、だからあの時の想の気持ち、ちょっと分かったんじゃないかな。

 

 

紬の元に小走りで向かう奈々。

めちゃくちゃいい子じゃん。

 

「大丈夫です。チャック、閉まってます」

「紬ちゃんと会う時にわざわざ開けないよ」

 

 

紬って本当にまっすぐで、ピュアなんだなあって思った。

1ミリもわざとだなんて思ってない。むしろ心配して、チェックしてる。

それに対しての奈々の返答もよかったなあ。ちょっとあざとい顔してお茶目に言うの。ひとりごとみたいに。そうだよね、そんなの、好きな人の前でしかしないよね。

 

 

「手紙ありがとう」

のLINEに、

「手紙で返事欲しかった」

っていう奈々。そうだよね。私が奈々でもそう言うよ。

奈々も想や紬と同じくらい「言葉」を大切にしている人。

 

 

紬の家でご飯を食べる奈々。

この二人、いつの間にそういう仲になってたの!!??って驚きだったんだけど、みんなどう?この二人は絶対に交わらないって言うか、普通だったら、私だったら絶対もうあの時で最後にしちゃうから、だからこの二人の何だろう、やっぱりまっすぐさとかピュアさなのかな、それがそういう壁を取っ払ってくれるのかな、なんかすごいなあって、尊敬した。

 

 

 

いつものカフェで待ち合わせする想と紬。

ヘアアレンジしてる紬って初めてじゃない??おしゃれしちゃうよね。好きな人の前だもんね。あの頃と同じ。会う前に前髪を確認する紬。変わってない。何にもあの頃から変わってない。だけど、紬が聞いている音楽を、つけているイヤホンを一緒に使うことはもう2度とない。

 

 

手をつなごうとする紬。

一瞬、嬉しそうな顔するのに、すぐに離してしまう想。

 

「手話しにくいから」

「あ、そうだよね。ごめん…」

 

ポケットに手をしまう想。

 

心が張り裂けそうだった。紬の気持ちになると、どれだけ悲しかっただろう。手話しにくいからって言うのに、ポケットに手をしまうのはさ、それはもう拒絶でしかないじゃん。

 

タイミングよく踏切が降りる。家まで送ることもなく、そこで別れる。

またねって手を出しても、タッチしてくれない。

立ち止まって振り返る想。紬だって振り返るのに、タイミングが合わない。両思いなのに、噛み合わない二人。

 

 

 

 

「帰るね」

「ご飯食べよう。ウーバー頼もう」

「じゃあ外で食べよう。青羽、帰ってきちゃうでしょ」

 

 

いつだって気遣いな湊斗くん。お花はもらうより渡す方に幸せを感じる湊斗くん。

 

そして鉢合わせしてしまう紬と湊斗。実は別れてから顔をあわせるのは初めてな二人。

一瞬の紬の表情でも「なんかあった」ってわかる湊斗と光。

今までの湊斗くんだったら「ううん、何も」って言われても紬に寄り添っていたのに、それはしない。もうできない。

 

 

 

バイト先。休憩中の田畑くんと紬。

 

「自分だったら、タワレコなんて一生入れないです」

 

 

「可哀想ですね」って言った時に、ちょ、おま、田畑フザケンナヨって思ったんですよ。おま、それ以上喋んじゃねえぞって。何も知らないのに想のことパブリックイメージで語るなよって。でもこの一言で、いや、わかってなかったの私じゃん…ってズドーンと落とされた。そうだよね。ほんと、そうだよね。当たり前のように、この2話から9話までの間で、私たちは、私は、想は紬と再開して、徐々に聴者とろう者の壁がなくなっていることを感じていると思っていた。けど、それは想が歩み寄っていたからで、普通は「タワレコ一生これない」と思う。そうだと思う。そんな当たり前のことを、忘れていたことをスーッと思い出して、そしてズドーンと落とされた。そんな言葉だった。

 

 

 

 

 

奈々と春尾先生。

またこうして二人が一緒にご飯を食べられる仲になって本当によかった。

救いだった。

 

「何で手話を仕事にしたの?」

「ろう者ともっとコミュニケーションをとって、理解しようと頑張れば自分でもわかりあえるかもしれないって思った」

「どうだった?」

「手話はコミュニケーションの手段でしかなかった。言葉の意味を理解することと相手の思いがわかることは違った」

「そうだね」

「聴者にいろんな人がいるように、ろう者にだっていろんな人がいたし、いろんなろう者の人と出会ったけど桃野さんみたいな人は桃野さんしかいなかった。結局は伝えたいとか受け取ろうとかそう言う気持ちがあるかどうかなんだと思う。」

(笑う奈々)

「何?」

「大人になったね」

 

 

いつだって春尾先生は的確なことを言う。なんかもうほんと、10話を最後まで見ると、この言葉がずしんと重くのしかかって、もう本当にそれなんだよなあって思った。「言葉」って何だろう。「手話」って何だろう。その答えはコミュニケーションの「手段」でしかない。同じ言語を喋っても、手話同士で会話しても、声で会話をしても、伝わるか伝わらないかは結局は「伝えたい」「受け取りたい」の意思があるかどうか。この何年かで春尾先生はそれを学んだし、「大人になったね」って返す奈々は、きっともう「手話はコミュニケーションの手段でしかない」ことには気づいていた。

 

 

湊斗が居酒屋にやってくる。

同時に同じこと話す奈々と湊斗最高に可愛いね。

毒舌奈々に、どう訳していいか困惑している春尾先生も含めてめちゃくちゃ可愛い。

 

私たちの気持ちをここにきて超、饒舌手話で全てかっさらっていく奈々様最高だな。

 

「バカバカバカバカ」

 

こんなに可愛いバカある?

そして「通訳必要になったら指名するね!」も回収して行くのすごい。

 

 

 

「本当に仲良いね」

「はい」

 

この後にあのシーンですよ。私まずここで泣いたもん。初見、リアルタイムで観てた時、まずここで泣いた。

 

踏切の近くで待つ想。

湊斗の家の方向からして絶対後ろから来るのに、反対側向いて立ってるの、もう、名前呼んでほしいんじゃん。

 

想の姿を見つけて駆け寄ろうとするけど、やっぱり下がって、LINEする湊斗。

 

「想!」

 

いたずらっ子な顔で何かをふと考えて、振り向く想。

私たちはこの笑顔を知っている。

その笑顔を見て笑顔になる湊斗。想の元に駆け寄る。

 

8年前と同じなのに、8年前よりも少し大人になった表情に、本当に役者さんたちすごいなって思ったんだけど、ここなんてまさしく「変わらない」ことの象徴のシーンだよね。聴こえなくても変わらない。「名前呼んだら振り返ってくれた」その事実は変わらない。

 

湊斗と想の友情関係ならそれで最高に幸せなのに。

再会したことがただ単によかったと思えるのに。

これが相手が「好きな人」になるとそんな簡単にいかないから苦しい。

 

 

 

湊斗の家に来た想。

紬を象徴するパンダのぬいぐるみを思わず寝室に投げ入れる。

いつ見ても、ほんといい家住んでるハイスペック湊斗。

 

「ありがとう」

「早く他にも手話覚えろ。いつまで機械に頼ってんだよ」

 

 

第10話は絶望だと、私は思っているんだけど同時に「ありがとう」の回でもある。

誰かが紬と想に「ありがとう」を伝える回。それが救いでもあった。

 

 

紬とは違う口調で、ちょっとからかうように言う想。

「男同士の会話」って感じで微笑ましい。

 

あの時泣きながら湊斗が話した「一緒にお酒飲もう」って約束をもう何の気兼ねなく出来てるのも嬉しかった。

 

 

紬からのLINE。複雑な顔をする想。

 

 

「耳が聞こえない以外、何も変わってないって言ってくれたけど」

「変わったことが大きすぎる」

「好きだから一緒にいるの辛くて別れたんでしょ」

「同じ」

 

 

「想が決めたことなら、別にどっちでも、何でもいいけどさ、俺、想みたいに青羽のこと想にあげるなんて言ってないし、二人に、付き合って欲しいとも、付き合ってほしくないともどっちとも思ってないよ。二人の好きにしたらいいって思ってる。俺もう部外者だから。関係ないから。でも、また青羽に何にも伝えないで勝手にいなくなるとかは絶対許さないから」

 

 

 

普段穏やかに優しい口調で話す湊斗が、最後のところだけ、震えた声で怒りを含んだような早口で言うの、苦しいしかなかった。一番二人を近くで見てきた湊斗が8年前のあの想の決断と別れ方は「間違い」って直接的な言葉は使ってないのに、諭してくるのすごい。同じ間違いを2度と繰り返させないために湊斗なりの言い方で伝えてくるのすごい。

 

 

 

 

 

紬の家に来た想。

10話の冒頭のシーンと同じアングル。でも、晴れてる。外は晴れてる。心と天気はいつだって同じだって限らない。

 

ふと目に入った紬のイヤホン。

想の表情を気にしながら言葉にする紬。

 

ゆっくり自分の耳にイヤホンをはめる想。

震える指で音楽を再生する。音を上げて行くけど、それは聴こえない。

目に涙をためて紬の方を見る想。

 

思わずイヤホンをとる紬。

 

 

 

「名前、言って」

「なまえ?そうくん」

 

聴こえない。

絶望した顔で紬から視線を外す想。

一歩近寄って、あの頃、8年前に最後にあった公園の時みたいに背中をさする紬。

 

8年前と同じ間違いは繰り返さない、そんな紬の意思が感じ取れて苦しかった。

 

 

 

「青羽、どんな声してる?」

「声?変わんないよ。佐倉くんが知ってる、高校生の頃と今も同じだよ。ねえ、どうしたの?最近、ずっと気になってた。たまに、寂しそうにするの、私が見てくれるなら言葉にするって言ってくれたじゃん?なんか、言いたいことある…」

「青羽の声、思い出せない。あの頃したくだらない話とか、一緒に見たものとか全部思い出せるのに、青羽の声がどうしても思い出せない。」

「手話で話せるよ」

「目の前で楽しそうに笑ってるのに笑い声が聞こえてこない。駅で再会した時、手話で何て言ってるかわからなかったでしょ?別れた理由言ったんだよ。電話もできなくなるし、一緒に音楽も聴けなくなる。そうわかってて一緒にいるなんて辛かった。だから別れた。」

「あの頃はそう思ってたってことでしょ」

 

 

 

 

1話のラストシーンと同じ手話で、別れた理由を伝える想。あの頃はなんて言われてるのか分からなかった紬。でも、今はわかる。想に出会って手話を覚えた紬なら分かってしまう。想の苦しみが、今は分かる。もう分かる紬だからこそ、想はずっと言うのを躊躇っていて、一人で抱え込んでいた。「伝えたい」「伝わらない」がずっとテーマだと思ってたのに、ここにきてものすごくシンプルな「聴きたい」「聴こえない」がテーマになってくるの、すごくしんどい。

 

 

 

 

 

 

「ねえ」

 

 

「やっぱり辛かった。一緒にいたいだけって言ってくれて顔を見て一生懸命に手話で話してくれて嬉しかった。でも一緒にいればいるほど話すほど、好きになる程辛くなって行く。青羽があの頃のままだってわかるほど自分が、変わったことを思い知る。」

 

 

 

高校生の頃の二人。

帰ろうとする想。紬の方をみる想。紬はそれに気がつかない。

そっと音楽を止める想。

 

 

「佐倉くん!」

 

 

大好きな紬の声を嬉しそうに噛みしめる想。

聞こえてないふりをしてイヤホンを取る。笑い合う二人。

 

 

 

 

 

「佐倉くん?」

「声が聞きたい。もう聞けないなら、また好きになんてならなきゃよかった」

 

 

 

 

絶望でしかなかった。

10話かけて、辿り着いた答えが結局8年前に想が先回りして決断した答えと同じだったの、絶望しかなかった。そんな「同じ」なんていらない。あんなに「同じ」が希望でしかない言葉だったのに。何だよそれ。何だよ…。

 

 

紬と再会した1話。そしてここまでの2話から9話までの想が、段々紬や湊斗との交流を持っていって、変わったのも事実で。確かに楽しいと、嬉しいと感じていたのも事実で。でも、好きになればなるほど、あのどうしようもなく好きで別れを告げた1話に戻ってくるの、つらいけど、めちゃくちゃつらいけど、分かる気もする。人間の気持ちってそんな簡単じゃないから。再開して、たしかに楽しい日々を過ごしてきて、またあの時の、8年前のあの別れを告げた時の、気持ちがどうしても湧いてきちゃう。またあの頃の気持ちが戻ってきて、やっぱりつらいってなっちゃうの、どうしようもない。進んだからこその、感情。

 

 

 

 

他は何だってしてあげられる。でも、「声が聞きたい」だけはどうやったって叶えてあげられない。そしてそう思わせて、想本人を、辛くさせているのは、紬自身だってことが絶望しかない。自分と一緒にいることが結果的に想を辛くさせているの、そんなの…

 

 

リアルタイムで初見で見たとき、おいおい泣いた。

嗚咽出るくらい泣いた。1話のラストシーン見たときと同じくらい泣いた。

 

 

10話は「変わったもの」「変わらないもの」が裏テーマとしてあった気がするけど、変わらない紬を実感すればするほど、好きが募っていって、そして自分の「変わったもの」の大きさを実感する。8年前、こうなることが辛くて別れたのに、8年経って、同じことに傷つく。それだけ本当に本当に紬のことが大好きなんだなあって、もうそんな安っぽい言葉にしかできないけど、でもそう思った。

 

脚本書いてる生方さんがこのドラマが始まる前に「スピッツの楓みたいなお話を書いてる」ってツイートしてて、ああ多分このドラマのことだなあって後から思ったんだけど、今回の10話を見て、「忘れは〜しないよ〜時が流れても〜」って私の頭の中のスピッツが歌っててそれでまた泣いた。「さよなら〜君の声を抱いて〜歩いて行く〜」8年前の最後、紬が「想くん」って呼んでくれた、その声だけをずっと覚えて生きていこうって決めただろう想くん。でもどうしてもその声が思い出せない。その事実を思って泣いた。

 

 

 

 

 

 

正直、めちゃくちゃ感想ブログ書きたいのに全然もう1回見ようって気持ちになれなくて。それだけ絶望で、何回見ても泣けてきそうで、このブログ書き始めてから3時間くらい経ってます(笑)ようやく最後までかけた。そのくらい辛くて辛くて、絶望でした。もう正直付き合わなくてもいい。どうか、お願いだから二人が幸せに笑顔で生きて欲しいと願うばかりです。

 

もう本当に来週最終回???ねえ、ほんとに???まじで??????

って感じだけど、心して。あと一週間待ちます。頑張ります。最後まで頑張って見届けます。