紬と湊斗。ビブスを干すふたり。さっき別れ話をしたと思えないくらい自然に会話するから、時系列が分からなくなってくるけど、やっぱりさっき別れ話をしたふたり。
昔の恥ずかしい手紙の話に、「やめて〜」ってビブス投げる川口春奈ちゃん、リアルすぎてここだけで優勝だと思った。
長い長い後ろ姿だけのシーン。
紬の表情も湊斗の表情もよく分からない。だけど、なんとなく想像できる。なんとなく、想像させるのすごい。
8年前の手紙の内容を、しかも自分宛じゃない手紙の内容を、覚えてるだなんて、この8年間本当にずっと、ずっと湊斗は紬のこと好きだったんだね。
「よかった。そんなキモい手紙見られなくてよかった。」
「その頃もう、好きだったんだよね。紬のこと。想より前から。戸川くん、戸川くんってよく話しかけてくれたけど、話の中身、全部想のことだし。」
「ねえ」
「想の話じゃないにしても、何組の何とかちゃんが戸川くんのこと好きらしいよーって。いやいらないし、その情報、俺が好きなの、2組の紬ちゃんだしっていう」
「その頃の話はいいじゃん。今のことちゃんと話そう。今っていうか、今後のこと」
ここで、この時、初めて紬は、湊斗が学生のときからずっと、想が紬を好きなる前からずっと自分のことを好きでいてくれたこと、知ったのかな。付き合い始めたとき、いつから好きだったの?なんて話したのかな。もし、このとき初めて知ったのだとしたら、それまでずっと自分の思いを話さずにいた湊斗の気持ちを考えると切なすぎる。別れる時に、初めて言うの、辛すぎる。
何回見ても、どの場面でも、泣く芝居がうますぎて、川口春奈ちゃんを胴上げしたい(言葉のボキャブラリーがなさすぎて最大限の賞賛がこれだった)
別れたくない、嫌だ。何でそんなこと言うの。って、そんな言葉が聞こえてきそうな表情で泣くから、ビブス投げるから、私も泣いちゃう。何で?湊斗何で?って。
誰が見ても、8年経っても、お似合いな紬と想の間で、どんなに自分が紬のことが好きでも、紬の、今の好きな人が自分でも、どうしても不安になってしまう気持ちと、いつか、本当に二人がもし両片思いになってしまった時の絶望に耐えきれなかった気持ちとかせめぎあって、これだけの固い思いになったのかな。だってここの別れを告げるシーンの湊斗、今までと全然表情違ったもん。今まで紬の弟みたいに見えてたのに、紬よりも全然大人でかっこよくて凛としてたもん。
河川敷で涙を流す紬。
駆けつけるマコ。マコちゃんの表情と寄り添い方っていつも100点満点なんだ。余計なことは言わない。ただただ隣にいてくれる。こう言う友達は、一生大事にしないといけないって私が私に言い聞かせた。
朝が来て、起きる紬。朝ごはんを食べる紬。
想から返してもらったイヤホンから流れたのはスピッツの「みなと」
思わず朝ごはんを食べるのをやめる。湊斗に電話する紬。いつだって、なんだって、空腹は選択を狂わすから。ちゃんとご飯、食べてる時じゃないといけない。
萌ちゃんと光くんのシーン。
本当に姉兄思いのふたりだよね。
「誰?友達?」
「お兄ちゃんの元カノの弟」
「余計な口出しすんのやめなよ」
「お兄ちゃんのせいにされてるんだもん。そういう雰囲気なんだもん。誰のせいでもないのに」
「誰のせいでもないことが一番厄介なの。そういうもんなの」
「誰のせいでもない」って言える萌ちゃんはイマドキの可愛いおてんばな女の子かと思いきや、すごく周りを見てる優しい子よね。なかなかお兄ちゃんのために、こうやって元カノの弟に会いに行ったりできない。そしてお母さんの言葉。そうだね。そういうもんだよね。だからこんなに、みんな苦しい。
古賀先生と想くんのシーン
「戸川と、青羽にも、ふたりなりの考えとか関係性とかあって、それは、何年だ?8年とか?全くふたりを見てなかった佐倉に、わかるわけないと思うよ」
一瞬、突き放すかのように聞こえる言葉だけど、これが全てなんだよね。
お母さんが言っていた「誰のせいでもないことが一番厄介」と同じ。こうなってしまったことは誰のせいでもなくて。こればっかりはもう、正直、想くんができることは何もない。二人のことに対して、何かを言うことも、することも、許されない。許されるのは、想くんが、想くんの気持ちのままを生きるだけなんだと思う。
湊斗の家で、自分のものを片付ける紬。
いつもだったら手伝うだろうけど、仕事していてそちらを見ない湊斗。
「あれ、これ湊斗買ったやつ?私?」
「ん?青羽のでしょ。固め」
「……じゃあ持って帰ろ〜」
「青羽」と呼ぶことで、関係性を終わらせた湊斗。それに気づいて、ふてくされたかのように相槌を打つ紬。紬はまだ「戸川くん」とは呼べない。呼ばない。
付き合い始めた頃を思い出すふたり。
紬の記憶は曖昧なのに、湊斗は正確に覚えてるの、本当にずっとずっと、紬のこと好きだったんだなあって思って辛い。
「で、どうする?」
「何を?」
「別れる?」
「別れるよ」
「マジか」
「マジだよ〜」
「え。これってもう、別れてんの?この、今の状況」
「別れてるよ」
「ああ別れてんだ。そうなんだ。ギリ付き合ってんのかと思ってた」
「ギリ別れてるよ」
「あら…」
「さっき言ってたじゃん、自分で。片思いって」
「そうだ、言ったわ。言った、言った。本当に片思いなんだ…」
最後の言葉には頷かない湊斗。
少しずつ、少しずつ別れを自分に落とし込んでいって、でも信じたくなくて、明るく言葉にするけど、それが返って現実を突きつけて来て、なんか本当、こんな会話、過去の彼氏としたことないけど、過去に、いつか、こんな会話したような気分になってくる。そうだよなあ〜あの時の自分もそう思ったなあ〜って。そんな、こんな切なくておしゃれな会話して別れた経験なんかないのに、なぜかそう思ってくる。
「いいよ。持ってく、アパートまで。重いし」
「女の子にはね、ちょっと優しくない方がモテるよ」
「次の人のとき気をつける」
「…やっぱ、運んでもらおうかな」
「次の人」なんて意地悪言う湊斗に、ちょっと意地悪し返す紬の気持ち、すごいわかる。意地悪って言うか、なんて言うか、こうやって引き止めてるんだよね。いろんな意味で。こういうリアルな描写が、同じ経験なくても、ああ〜わかるわかるってなるんだよね。
「一人で全部持てる?」
「うん、持てる」
「うん」
「一人で全部持てる?」荷物、にも、これから、にも掛かっていて辛い。
手が離れて、全部ここで終わりなの辛い。
手話の「片思い」が本当に絶望すぎて思わず考えた人すごい!ってなってしまった。
それに気づく紬は今絶望真っ只中だから。
「普通に、声で話せるんですけどね。湊斗とは」
ここのセリフがすごく印象的。
風間ぽんの「湊斗くん、まるで青羽さんは自分のことそんなに好きじゃないみたいな言い方するから」って言葉を聞いた紬の、悲しそうな顔。湊斗と付き合ってた数年間、確かに湊斗のことを好きだったのに、ああ、それ、伝わってなかったんだなあっていう悲しさと悔しさ。もうどうしようもできないもどかしさ。全部全部含めたこのセリフ。ここ、本当に川口春奈ちゃん、うまいよね。
言葉の難しさを痛感する。
紬と想のシーンでも思うけど、言葉って文面だけじゃ伝わらないんだよね。
声のトーンとか表情とか、その背景にある思いとか、全部全部合わさって、言葉になるんだよね。本来は。声で話せるか、話せないか、じゃないんだよね。文字だけじゃないんだよ。
湊斗とマコのシーン。
ここの湊斗くんの表情が、やっぱり今までの、4話までの表情と違って、すごく引き込まれた。そしてマコちゃん、とってもいい友達だよね。
「女の子をキラキラさせる男ってすげえなって思ってたんだけど、でも、ね、ポワポワさせるのもね、なかなかの才能だと思うけどね。だから、私は…、他人の私からしたら、この3年の紬、幸せそうで嬉しかったけどね」
「やり直しなよ」とも、「なんで別れたの?」とも言わずに、ただただ「この3年の紬を見ていての〝自分″の感想」を、湊斗にぶつけるでもなく、中間にポンって置くような感じで話すマコちゃんは、本当に本当に素晴らしくできる友達。なんて優しい友達。大好き。
想のお母さんとお姉ちゃんのシーン。
「ごめんね。お母さんは、想の本音が聞きたいのにね。ごめんね。私たちばっか喋って。」
萌ちゃんも、お姉ちゃんも、想のこと大好きだけど、あまりにもお母さんが想のことばかり気にかけて、「想、想」っていうから、ずっとずっと色々思っていた部分があったんだろうなあ。でも同時に、お母さんが想のことを気にかけてしまう気持ちもわかるから、しんどい。このドラマの登場人物って全員気持ちに共感できるからいつもいつもしんどい。
紬のバイト先の前で待ち伏せする想。
「どうしたの?」
「LINE、返事ないから」
「ごめん、忘れてた」
「湊斗」
「ん?湊斗が何?」
「……」
「ごめん、って言おうとしたでしょ。喧嘩したとかじゃないし、なんか、平和に、円満に、別れたから、全然大丈夫だから」
「どこかでゆっくり話せる?」
「これから仕事だから、なんかあるならLINEしといて」
「仕事の後、時間ある?」
「だから、LINEしてくれればいいから。休憩の時、返すから」
「顔見て話したい。顔見て話したいから、会いに来た」
「……今、佐倉くんの顔見て話すの、つらい」
今までの紬が、想に見せて来た表情や声色ではない、ちょっと苛立ったもの。
別に想くんに苛立ってるわけではないけど、このどうにもならない気持ちとか、もうぶつけようもない思いが、自分の中で消化できないまま、「話したい」って言われると、どうしていいかわからなくて拒絶してしまうのすごくわかる。手話で会話する二人にとって、表情ってすごく大事だから、顔と顔をあわせると、全部全部ばれちゃうから、だから会いたくない。今は一人になりたい。
ハンバーグをこねる紬。
「何人分あるの?」
「ふたりで食べて、残りは明日。」
「湊斗くん呼ぼっか」
「ふたりで食べて、残りは明日。」
念を押す言い方に、それ以上は何も言わない光。
掛かって来た湊斗からの電話。姉の元に持って行ってスピーカーにする光、できる子。
ここからは圧巻。圧巻の電話シーン。
公式twitterで明らかになりましたが、この電話のシーン、本当に同時に電話して撮ってるんですってね。だからこその、この圧巻の二人の演技。もうずっと、いや、もうこのシーンになる前からずっと、5話の放送始まった時から、あのビブスのシーンから、ずっと泣いてた。
全部全部文字起こししたいくらいなんだけど、ちょっと私のタイピングついていけないので割愛しますが、そのくらい、どの言葉も省きたくないくらいこの長回しのワンシーンは圧巻でした。というか、この5話がもう圧巻の5話でした。一番好きな回でした。
ちゃんと最後に、自分の気持ちを湊斗に伝える紬。
自分でも自覚するくらい、ポワポワしてた紬。
「好きだったよ。戸川くんのこと、好きだったよ。この3年間、ずっと、一番好きだった人だよ。」
ここで涙が急にぽろっと流れる川口春奈ちゃんってマジで天才すぎる。
この長回しのシーンをずっと川口春奈ちゃんで持たせるの天才すぎるし、それに耐えうるのが天才すぎる(ボキャブラリーがない)
そして、湊斗の「うん」も同じくらい天才。この人、「うん」のパターン何個もってんの。何回、何百回、こうやって、紬の話にうんって相槌打ってきたのかが分かる。想像できる。
ずっと言えなかった、終わらせられなかった紬が「戸川くん」っていうことで、紬の、湊斗との恋が終わりを告げる。湊斗は湊斗で、「青羽」って呼んだタイミングで、紬は紬で「戸川くん」って呼んだタイミングで、それぞれ終わらせた。でも、今、この電話で、二人の恋が終わった。
「家届けようかなってちょっと思ったんだけど、電話にしてよかった。顔見たら泣いてた」
「え?なんで泣くの?意味わかんない」
お互いが電話の向こうで泣いてるのなんて知ってる。そんなの気づいちゃうくらい、ふたりはお互いのこと知ってるし、3年間恋人として一緒に過ごしてきた。でもこうやって強がらないと、もう慰めることはできないから。終わらせないといけないから。
苗字呼びに変えて、終わらせた恋のシーンの後に、名前呼びに変えて恋が始まったシーンを描くの天才すぎて胴上げしたい(これが私の最大限の賞賛の言葉)
白くてふわふわしたやつが思い出の品じゃないかなって思って電話した湊斗くんと、捨てていいよって言った紬。思い出の品じゃん。めちゃくちゃ思い出の品じゃん。ここで全部全部回収していくのしんどい。天才すぎてしんどい。
「好きな人が言う可愛いはね、強いから、威力が。中学生の時に買ったヘアピンも、捨てられなくなる」
「食べちゃおう、お腹減った」
電話を切った後、ちゃんとお腹が減る紬。
朝起きて、「お腹減った」と呟く湊斗。二人とも大きな決断をした証。生きるってこう言うこと。お腹が減るってこと。
身支度をしながら、ポニーテールにする紬。
一度結んですぐに解く。
「想はね、ポニーテールが好きです」の湊斗の言葉を思い出したのかな。
思い出したから結んだんじゃなくて、思い出したから、解いたのかな。
想が待ってるカフェに行く紬。
「来ないと思った」
「来てって言ったじゃん」
「顔見たくないかなって」
「大丈夫、見れるようになった」
ここの川口春奈ちゃんの表情が、あのタワレコの前での表情と全然違って、本当に何か吹っ切れたような、すっきりとしていて、ああ本当に全信頼しかない、この女優さん…って思った。
ノートに自分の思いを書いて来た想。
「2人が別れたの俺のせいだと思って」
「再会しなければよかったと思った」
「ごめん」
「でも、青羽が手話で話してくれることも」
「湊斗たちとまたサッカー出来たことも」
「うれしかった」
「青羽と湊斗には悪いけど」
「やっぱり再会できてよかったと思う」
「8年分の思ってたこと伝えたいこと」
「これからは全部言葉にしようと思ってる」
「青羽が俺のこと見てくれるならちゃんと言葉にしたい」
別にノート1ページに全部書いてしまっても良さそうなところを、1ページずつに分けることでちゃんと会話になってる。紬の表情を見ながら、次の言葉を届けられてる。ちゃんと紬と想の会話になってる。高校生の頃、「言葉」と言う作文を書いた想くんだなって思った。
ここの目黒くんの表情もすごくいい。
タワレコのときの真剣な顔もいいけど、この1ページ、1ページ、ページをめくるたびに表情で会話してるの、すごくいい。うまい。
「すっごいお腹減ってる」って言う紬に、「すぐ店決めるからちょっと待ってて」っていう想くん、私の彼氏になって(やめなさい)
この人モテるわって言うのがこの会話だけでわかるのすごい。全モテの代表、佐倉想すごい。
「やっぱりなんでもよくない。ハンバーグ、以外にして」
思い出のハンバーグ。湊斗と一緒に食べたハンバーグ。
それは湊斗との思い出だから、だから、それ以外にして。
第5話。過去の中でいちばん好きな回でした。
プロデューサーさんも、こういう回を作りたいと思ってできた回的なことを言ってましたが、本当に本当に大好きな回でした。
だって本当に最初から最後までずっと泣いてたもん。もうどのシーンとかじゃなくて、ずっと泣いてた。
来週からは今まで想くんがどういう8年を過ごして来たか。
予告だけでも、辛くて切ないけど、来週も楽しみにしてます。